新出文法項目:〜ことにする、〜ことになる、疑問詞+か、〜みたい、〜よう、〜さ、〜そう(様態)、らしい
島田一夫さんの日記 三月十九日(金)
この間からずっとアパートを探していた。三週間前に結婚したので、住むところが必要だったからだ。今は、僕が結婚前に一人で住んでいた上野のアパートに妻と二人で住んでいるが、このアパートは六じょうと四じょう半の部屋が一つづつしかないから、二人で住むのにはちょっと狭い。それで、もうちょっと広いアパートを探すことにした。
都内でアパートを探すのはすごく大変だ。どこへ行っても家賃が高い。僕の今住んでいるアパートは二十年前の建物で、狭いしあまりきれいじゃないけど家賃は一か月九万円だ。僕も妻の雪子も会社が新宿にあるから、新宿駅の近くがいい。通勤時間が長くかかるのは不便で困る。
一週間ほど前にうちの課長が、隣の人がサンフランシスコに行くことになって、だれかかわりに住んでくれる人を探している、ということを教えてくれた。課長が住んでいるマンションは、新しいらしいし会社にも近いからすごくいいと思った。課長は、詳しいことを聞いてから連絡してくれると言ったので、楽しみにしていた。おととい課長が「例のマンション、他の人に決まっちゃったみたいなんですよ。」と言った時は、本当に残念だった。課長は、その部屋が空いているみたいだったから私に話してくれたらしいが、かわりに住む人がもう決まっていたらしい。
今日、雪子と一緒に不動産屋に行って、どこかいい部屋がないか聞いてみた。不動産屋の話では、新宿の近くは交通の便がいいから物価が高いし、小さいアパートでも家賃が高いらしい。
不動産屋が見せてくれたのは、新宿駅のすぐそばにあるワンルーム・マンションだった。そのマンションは広さはかなりあるけど、北向きだから日当りが悪そうだった。あまり新しい建物じゃなかったし窓がこわれそうになっていたので、不動産屋は早く決めたそうな顔をしていたけど、もう少し考えることにした。
次に行った不動産屋が見せてくれたのは、目白にあるアパートだった。目白から新宿までは山手線(やまのてせん)一本だから、交通の便は心配ない。そのアパートはおととしできたらしくて、きれいな建物だった。部屋は三つあって和室と洋間で、広さは問題ない。和室は六じょうで、雪子も僕も寝るときはふとんの方が好きなので、この部屋は寝室にできるだろう。洋間は二つあって、一つは八じょうぐらい、もう一つは十じょうぐらいだ。大きい方を居間にして、小さい方は書さいにしようか。台所もかなり広そうで、気持ちがいい。家主もいい人だし僕も雪子もこのアパートが気に入ったので、このアパートに決めた。家賃は一ヵ月十五万円でちょっと高いけど、都内であの広さだから仕方がない。
家に帰る前にきっさ店に寄って、コーヒーを飲んで少し休んだ。僕はコーヒーにたくさんさとうを入れるけど、雪子はいつもブラックで飲む。雪子はダイエット中じゃないが、健康のために甘いものはあまり食べないようにしているらしい。
今日は一日中歩いていたから、僕も雪子もくったくたになってしまった。でも、新しいアパートが決まって本当によかった。
|